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2008年11月

物語の核。

 1週間ほど前に「陽炎の辻2」のことを書いて投稿しましたら、アクセス数が急増し、ビックらこきました。ブログのアクセス解析機能が壊れたのかと思ったほどです・・・。
 あらためて「陽炎の辻」ファンが大勢いることがわかり、ちょっと複雑な気分になり、そして、このブログにたどりついた人の「チッ」という舌打ちが聞こえるような気がして、ひやひや、どきどき、恐ろしく、申し訳ない気持ちになりました。

 ブログのトップページにも検索フレーズランキングが出るようになってしまいました。ご覧のとおり、1位「陽炎の辻」、2位「山本耕史」、3位「耕史」・・・あら? 変わってますね。3位は「陽炎の辻2」になったようです。

 かく言うわたしも、ネットで「陽炎の辻」を検索したことがあります。NHKの土曜時代劇のホームページで壁紙もダウンロードしちゃいました。写真館ものぞいちゃいました。(個人的にはもっと殺陣のシーンの写真を入れてほしかった・・・)
 ダウンロードした壁紙は、しかし、あまりにも磐音がカッコ良すぎて、「こんなの見てたらリアルな世界を生きていけなくなってしまうワ」とヘンに恐ろしくなってしまって、1~2分後には別のものに変えてしまいました。 アホやねん。

 「陽炎の辻」ファンの存在に気づいて複雑な気持ちになったのはなぜだろう・・・? としばらく考えていて、はたと気づいたことがあります。
 まったくバカバカしい話ではありますが、わたしはこのドラマの、特に最終回は、とても「個人的」に見てしまっていたのです。自分の経験を織り交ぜて、まるで自分のストーリーのように受けとめて見ていた、ということです。だから、わたしの目は磐音を見ていたのだけど、そこには自分自身が重なって映っていて、一体わたしは何を見ていたの? という感じですが、でも、見ていた瞬間は本当にそうでした。
 一応、ブログには他人とも共有できる(と思われる)、裏の赤い着物のカッコよさについて書いていましたが、「陽炎の辻2」の最終回はわたしだけのもののように錯覚していた部分もありました。
 そんなわけで「陽炎の辻」という検索ワードを手がかりに、こんなにたくさんの人がこのブログに漂着したことに戸惑いを感じてしまったわけです。

 ドラマに限らず、小説などのストーリーを追うというのは、その登場人物の人生を共に生きることなのですが、ストーリーを追っている「わたし」が存在する以上、自分の過去の体験や感情その他もろもろが自分でも気づかぬうちにストーリーの横糸として織り込まれていき、厳密に言うと、辿っているストーリーは一人一人、違うものではあるのでしょう。
 ただ、人は生きていれば誰しも出会いや別れを繰り返すことになるのが自然で、そういう普遍的な人生の側面があるからこそ、このように自分自身を他者の人生に織り込んでいくことができるのだと思います。

 他人を理解するなんてさらさら不可能なことではありますが、それでも人は何とか理解しようと歩み寄ろうともします。どのようにして歩み寄るかといえば、しかし、結局のところ、人にできることは、自分自身の人生を振りかえって、ごそごそと手探りすることでしかないのでした。

 物語の核って、実はすごく普遍的なものだったのか・・・とか思ったのでした。

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陽炎の辻2

NHK土曜時代劇、『陽炎の辻2』が最終回を迎えてしまいました・・・。

・・・寂しい。

主演、山本耕史。
三谷幸喜の「新撰組!」で土方歳三を好演して以来、時代劇という思いがけないジャンルで主演を務めるようになった人です。

山本耕史くんの土方歳三はとても評判でしたが、わたしには「へー、あんなになよなよしていた『ちい兄ちゃん』がねぇ・・・。眉毛を10時10分の角度に描いて、眉間にしわ寄せると、人って変わるもんだねぇ、という程度には感心したのですが、しかし、その程度でありました。

「陽炎」の主演と聞いても、ふーん、土方役がよっぽどハマったのねえ。NHKも使いまわすよなあ、くらいのリアクションでありました。じっくりと「陽炎」を見ることもなく、いつの間にやら「陽炎2」が始まっていましたとさ。

ところが!

あるとき、何気なく見た「陽炎2」。
山本耕史の衣装を見て、何やらよくわからぬトキメキのようなものがわたしの中でキラキラと炸裂しました。
だって、だって・・・、山本耕史くんが、

裏の赤い着物を着てるんですもの!!!

これに、すっかりやられてしまったのでした・・・。
小学生の頃から色々な時代劇を見てまいりましたが、裏の赤い着物を着ている主人公は初めてかと存じます。
着物の表地は、黒。(というか、黒っぽく見えるけど、本当はチャコールグレーなのでは・・・とずっと訝っております)
そして、襟元や袖口から、ちら、ちら、と赤がのぞくのです。

こんな粋な衣装を着ておりますから、当然のことながら殺陣のシーンは通常以上の見せ場となります。赤い裾を翻して剣の達人が舞う。こんな見せ所のある時代劇、ちょっとお目にかかったことがありません。

わたしが初めてテレビで見た時代劇は「遠山の金さん」。
「金さん」の見せ場は何といっても、片肌脱いで桜吹雪の刺青を見せて啖呵を切るあのシーン。当時、小学1、2年だったわたしは、金さんにメロメロでした・・・。

時代劇のヒーローには華がなければならない。爾来、これがわたしの信条となりました。ゆえに、黄門様はだめなのです。枯れ過ぎです。スケさん、カクさんはしょせん脇役です。

なんてことない土曜時代劇だったはずなのに、山本耕史の衣装によって、わたしは「陽炎2」にのめり込み、あの粋な衣装に気づいてからは毎週欠かさずに見ていました。
残念なのは、一回の放映時間が30分しかなかったこと。ストーリー展開がちょっとバタバタしてるところもありました。おまけに、殺陣のシーンがないときも。一番の見せ場なのにぃ・・・。

とにもかくにも、裏の赤い着物を着た山本耕史くんが見たくて毎週楽しみにしていた「陽炎2」。
でも、だんだん磐音という主人公にも惚れていきました。
というのは、この主人公は暗ーい過去を背負っているのです。やむにやまれぬ事情で、許婚の兄を切ったのでした。許婚は家計を支えるために花魁に。
花魁への想いを断ち切れぬまま、町娘のおこんとも出会い・・・。なんか優柔不断な感じもしますが、そんなにスッキリ、サッパリ、キッパリとはいかないのが人生じゃないの、という感じでそそられます。
単なる剣の達人ならば、裏の赤い着物を着ていてもここまではハマっていないはず。なんつーか、業のようなものを背負って生きている磐音は、ただのウルトラマンでもなく、おいしいところを突いてるのよね。

最終回、花魁と磐音が障子越しに話をするシーンは、わたしも一緒になって涙です。「障子を開けてはならぬ」と厳しく言う磐音さん、あんた、聖人ですか、と言いたくなるけど、磐音は磐音で声もなく静かに涙を流しているのです。抑え目の演技をしてきた山本耕史くんが泣いている! さすが最終回。わたしも一緒になって、涙がつつー。あんた、やっぱ人間だよ。つつー。運命に翻弄される、小さな生き物だよ。つつー。

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